犬はどれくらいのものがどのように見えているのでしょうか。
テレビに向かって吠えたり、こちらをじっとみてきたり…
本記事では犬の視力・見え方について解説していこうと思います!
1. 犬の視力は人間とどう違う?
犬の視力と人間の視力の大きな違いを解説していきます。
「犬の視力の基本的な特徴」
◎視力の鮮明さ
- 犬の視力は、人間の視力で例えると「0.3〜0.5程度」とされています。
- 人間よりも近くの物が少しぼやけて見える傾向がありますが、動く物を捉える能力には優れています。
◎色の認識
- 犬は人間と異なり、色覚が限定されています。具体的には、青と黄色を認識できますが、赤や緑を区別するのは苦手です。
- そのため、犬にとって世界は人間が見るよりも色の種類が少なく、淡い色調で見えるとされています。
◎視野の広さ
- 犬の目は顔の側面に位置しているため、視野が広く、約250度をカバーすることができます(人間は約180度)。
- ただし、視野が広い分、前方の「立体感」や「奥行き感」は人間よりも劣ります。
「犬が視覚以外に頼る感覚」
犬は視覚以外の感覚が非常に発達しており、それらを使って周囲の状況を把握しています。
◎嗅覚
- 犬の嗅覚は人間の約1万〜10万倍も鋭いといわれています。
- 視覚が弱い分、匂いで環境や人、他の動物を認識する能力が優れています。
◎聴覚
- 犬の聴覚は人間が聞き取れない高周波の音も感知でき、約40kHzまでの音を聞くことが可能です(人間は20kHz程度)。
- これにより、視覚で捉えきれない音源や遠くの音を認識することができます。
◎身体感覚
- 足裏の肉球やヒゲを通じて、微妙な振動や風の流れを感じ取ることもできます。
- これにより、視覚が曖昧な場合でも周囲の状況を把握しています。
2. 犬はどんな色が見える?

「犬が識別できる色」
犬は色を識別しているのでしょうか? 認識できる色、できない色を人間との違いと比べてみます。
◎犬は青と黄色を識別することができます。
◎一方で、赤や緑は区別ができず、灰色がかった色や暗い色として見えます。
「人間との違い」
◎人間は三原色(赤・青・緑)を基に多くの色を識別できますが、犬は二色型色覚(青と黄色のみ)です。
◎そのため、犬にとって世界は人間のようにカラフルではなく、よりシンプルな色調で見えています。
「犬にとって見やすい色」
◎黄色系や青系のおもちゃは、犬にとって見えやすい色です。
◎逆に、赤や緑のおもちゃは背景と区別がつきにくく、見つけづらいことがあります。
犬は青と黄色を基に世界を見ています。犬用のおもちゃやトレーニング道具を選ぶ際は、この特性を考慮して色を選ぶと、犬がより楽しく過ごせるでしょう。
3. 犬の視野と遠近感の特徴
犬はどれほどの視野があるのでしょうか。犬種によって見え方は違うのでしょうか?
「視野の広さと犬種による違い」
犬の視野は、人間の約180度に比べて非常に広く、平均して約250度を持っています。
これは犬の目が顔の側面に配置されているためで、広い視野は周囲の動きを素早く捉え、外敵や獲物を発見するのに役立つ進化の特徴です。
しかし、視野が広い分、**正面の奥行き感(立体視)**は人間より劣ります。
犬種によって目の配置や頭部の形状が異なるため、視野の広さや得意とする視覚能力にも差があります。
◎目が側面寄りの犬種(視野が広い)
例:グレイハウンド、ボルゾイ
このような犬種は「サイトハウンド」と呼ばれ、広い視野と動く物体を遠くから捉える能力に優れています。特に視覚を活かして獲物を追跡するために進化してきました。
◎目が正面寄りの犬種(立体視が優れる)
例:フレンチブルドッグ、パグ
短頭種(頭が短く平らな犬種)は視野が狭くなりがちですが、正面の奥行き感や近距離の視覚認識に優れています。この特性から、遠くの動きよりも近い対象物を捉えるのが得意です。
「視野の違いを活かした飼い主の工夫」
犬の視野特性を理解することで、より快適な生活環境を提供できます。
- 動きのある遊びを活用:サイトハウンドのように視野が広い犬種には、フリスビーやボール遊びなど、動きを追いかける遊びがおすすめ。
- 正面からのアプローチを心がける:視野が広い犬種でも真後ろは死角になるため、驚かせないよう正面や側面からアプローチしましょう。
- 犬種に合った遊び方:近距離の視覚に優れる短頭種には、体の近くでの引っ張り遊びやおもちゃを見せる遊びが向いています。
「遠くと近く、どちらが見やすい?」
犬の視覚は人間とは異なり、遠くを見る能力と近くを見る能力にそれぞれ独特の特徴があります。
犬は狩猟本能に基づき進化してきたため、特に「動く物体」を捉える能力に優れていますが、近距離での視覚にはやや弱点もあります。
ここでは、犬の「遠く」と「近く」に対する視覚能力を詳しく解説します。
「犬は遠くを見る能力に優れている」
犬は人間よりも視力が低い(0.3〜0.5程度)ため、遠くの静止物を鮮明に見ることは苦手ですが、動いている物体に対する感知能力は非常に高いです。
遠くの動きに敏感:特に狩猟犬や牧羊犬として進化してきた犬種は、数百メートル離れた動く物を素早く捉えることができます。
静止物は苦手:逆に、静止している物体を遠くから見分けるのは苦手で、動きがない場合は見逃すこともあります。
例えば、散歩中に遠くで走る犬や自転車に急に反応するのは、犬が「動き」を捉える視覚的能力に優れているためです。
一方で、遠くの止まった物や小さな物体には気づかないこともあります。
「近くの物はどう見えるのか?
犬は近くの物体を見る能力にはやや限界があり、近距離では物が少しぼやけて見えるとされています。
嗅覚や聴覚で補う:そのため、犬は近くの物を視覚だけでなく、嗅覚や聴覚を組み合わせて認識しています。これが、犬が飼い主の顔や物を近くでじっと見つめているように見えても、「匂いや声」を頼りにしている理由です。
距離の目安:犬がはっきりと物を見ることができる範囲は、50センチ〜1メートル程度とされています。それより近すぎると、物体がぼやけて見えることがあります。
犬は遠くの動きに敏感ですが、近くの物も嗅覚や聴覚を補うことでしっかりと認識できます。
犬種や環境に応じて、遠くと近く両方の能力を活かせる遊びやコミュニケーションを取り入れると、
犬との生活がより楽しいものになるでしょう。
4. 暗闇での視力と見え方
「暗闇で見える仕組み」
犬が暗闇で物を見ることが得意なのは、目の構造が人間と異なるためです。
1. 桿体細胞の多さ
犬の目の網膜には、光の明暗を感知する「桿体細胞」が多く、わずかな光でも視覚情報を得ることができます。
2. タペタムの存在
目の奥にある「タペタム(輝板)」という反射層が光を再反射させ、暗闇での視力を向上させます。
この仕組みで光を効率的に利用しているのです。
3. 動体検知能力
暗い環境でも動く物体を察知する能力が高く、夜間でも状況を把握することが得意です。
これらの特徴により、犬は薄暗い環境でも視覚を活かして活動することができます。
犬は暗いところでも物を見るのが得意です。
犬は夕方や朝の薄暗い時間にも強く、視覚だけでなく、鼻や耳も使って周りを感じ取っています。
おわりに
犬の視力は人間と異なり、暗闇や薄暗い環境に適応した特性を持っています。
「タペタム」や「桿体細胞」の働きで、暗所での視覚能力が高く、動くものを認識するのが得意です。
犬の視力を活かした散歩や遊びを工夫し、快適で楽しい生活をサポートできます。
最近では動物の眼科専門医も増えており、早期の診断や治療が可能になっています。
大切な家族である犬の健康を守るためにも、目の異常を感じたら早めに受診することをおすすめします。